私たちは、他人が困っていたり、苦しんでいるときには、当たり前のように同情します。
しかし、自分自身のこととなると、とたんに私たちは同情するのが苦手になりがちです。
どうしてああしてしまったんだろう、なぜいつも自分はこうなんだろう。
そんな具合に、なにか苦しみを経験するたびに、自分の心にふたをして、責めてしまいます。
もし同じことが、自分の友人の身に起こっていたとするならば、きっと同じようにはしないでしょう。
あなたは、相手がこれ以上苦しまないでほしいと願い、思いやりと気づかいの気持ちをよせます。
同情とは、痛みや苦しみが、その人の心の中から消え去ってほしいと願うことなのです。
同情は、私たちに自然に備わった資質であり、子どもを養い、配偶者との絆を強め、人間社会を形成していくために進化した神経システム、心理システムの一つです。
そして、それをあなた自身のために使わないというのは、とてももったいないことです。
本記事では、自分に同情を向けることによって、心の痛みを減らしたり、ストレスを軽減していく方法について解説していきます。
自分に同情するとは
同情は自分に向けることもできます。
そして、それは自分を哀れむことではありません。
まず、現状をあるがままに認識し、「これは大変だ」「これはつらい」と認めてあげることです。
もし、親友が同じような苦痛、不調、困難に見舞われたとしたら、苦しみが減り、なくなってしまうことを、あなたは温かい心で願うことでしょう。
それとちょうど同じことをあなた自身にします。
あなたの苦しみが減り、なくなってしまうように願ってください。
そうすることによって、以下のメリットが得られるようになります。
- 自己批判が減ります
- コルチゾール(副腎皮質ホルモン)のようなストレスホルモンが減ります
- 自分を癒し、元気づけ、回復力を高めます
- 子どものときに十分な愛情を受けられなかったという心の傷をいやすのに役立ちます
自分に同情する方法
けれど、多くの人にとって、自分に同情するのは簡単なことではありません。
自己批判や上昇志向の精神、禁欲的な考え方などが、あだとなってしまうのです。
なので、自分に対する同情を導き出すためのステップを用意しました。
いくつか組み合わせて実行すれば、自分に同情するのが容易になるだろうと思います。
- 少し時間をとってあなたが抱えている困難、難題、苦しみを認めてください
- 自分を気づかってくれている誰か(親友、家族、神様やペットなどでも可)と一緒にいるときの感覚を思い出してください。
あなたはその相手にとって大事な存在です。
相手はあなたの気分が良くなって幸せな人生を願っている、そんなふうに感じてみましょう。 - あなたが抱えている問題を心に浮かべてください。
それから、あなたを気づかう相手が、あなたに同情し、それを態度に表している場面を想像しましょう。 - その人の表情、身振り、姿勢、態度を思い描いてください。
その同情を受け止め、温かさ、思いやり、善意を自分の中に取り組んでください。 - 心を開き、「わかってもらえている、大事にされている、安らかで心静まっている」と、そんなふうに感じてください。
相手の気づかいを受け止めるという経験により、今度は相手を気づかうという神経回路があなたの脳の中で活性化します。 - 子どもや家族など、自然に同情できる相手を心に浮かべます。
その人が、あなたが抱えているのと同じ問題に悩まされていると仮定します。 - そしたら、あなたはその人に対してどのように感じるか想像してみましょう。
心と身体を同情で満たしてください。
そして、その同情をその人に向けてください。 - あなたの身体、あるいは心から光が放たれる様子を目に浮かべてみるのも良いでしょう。
同情するとはどういうことなのか気づいてください。 - 次に、同じ同情心を自分自身に向けてください。
次のような言葉を添えてもかまいません。 - 「この痛みが無くなりますように」
「事態が良い方向に向かいますように」
「時間とともにもっと冷静になれますように」 - 自分に温かく対応してください。
自分の抱える問題、苦痛を認めてください。
事態が好転するように祈ってください。 - このような同情があなたの中に深く沈み込んで、あなたの一部になり、あなたを癒し、あなたに力を与えてくれるのを感じ取ってください。
おわりに
以上、心を癒し、回復力を高める方法として、「自分に同情する」プラクティスを紹介しました。
もしかしたら、最初はあまり効果を実感できないかもしれません。
しかし、人間の脳は、神経細胞の結びつきが形成され、強化されるまでに時間がかかるものです。
慈悲の瞑想と同じく、根気強く続けてみる必要があるかもしれません。