「愛されたければ、まずはあなたが目の前にいる人を愛しましょう」
なんと甘美でありふれた言葉なのでしょう!
実際、そんな簡単に人を愛し、人から愛されるのであれば、恋愛で悩む人はいないはずです。
彼からの、あるいは彼女からの愛がほしいと恋い焦がれ、胸を刺すような痛みや苦しみに悶えながら、結局は誰もが振り回したり、振り回されたりしてしまう。
恋とは本来そういうものです。
確かに、人は恋をすることで多幸感に包まれるかもしれません。
しかし、恋という執着の炎が、心をひどく傷つけてしまうことも、また事実です。
だから、恋の炎に身を焼かれてしまわないためにも、精神的な強さを持つ必要があります。
愛他的で、思いやりのある優しさを持つ必要があります。
今回の記事では、優しさと強さを育む「慈悲の瞑想」について執筆しました。
「慈悲の瞑想」とは、原始仏教の世界などで使われる瞑想法の一つです。
本記事では、「慈悲の瞑想」を習得し、実践することによって、「強さと優しさ」を脳科学的に鍛えることを目的としています。
内容としては、マインドフルネスである「呼吸瞑想」より高度なものとなります。
なので、「精神を安定させ、脳の回復力を高めるマインドフルネスについて」を先に読んで実践してから、慈悲の瞑想に取り組んでいただけるとよろしいかと思います。
本記事では、具体的に以下のことについて解説していきます
- 脳を鍛えることで意志力や愛情が強くなる仕組み
- 「慈悲の瞑想」によって、脳がどのように鍛えられるのか
- 「慈悲の瞑想」の具体的なやり方
この記事の内容
愛されたければ、脳を育てましょう
人それぞれ、異なった性格を持っています。
ある人はいつもポジティブで、ある人はネガティブな思考を持っています。
また、ある人は社交的で、ある人は孤独癖を持っています。
そして、ある人は愛されやすく、ある人はあまり愛されません。
一つ一つの違いに目を向けていけば、キリがありません。
しかし、そのすべてを、脳の機能や働き方に原因を求めることができると私は信じています。
脳というのは、身体の筋肉と同じで鍛えれば成長するものです。
もちろん、遺伝的な骨格や体質、性別のように、生まれ持って与えられたものも私たちにはあります。
しかし、私たちの持つ遺伝子が、私たちのすべてを決めているわけではないのです。
例えば、太りやすい体質の人でも、医学的な知識に基づいた、健康的な食生活や運動習慣を身につければスリムな体型を手にし、維持することができます。
人の性格についてもまさに同じことがいえるのです。
正しいやり方で、意志力を鍛え、愛着反応を鍛えれば、人を愛し、人から愛されやすい性格になることができるのです。
思考を変え、神経回路を鍛える
愛や信念、やる気、人生の価値観、口癖、趣味…。
すべて異なるものですが、脳の血流や神経細胞の結びつきによって生まれています。
そして、人間の脳は、経験からだけではなく、思考そのものからも多くのことを学習しています。
例えば、計算能力を高めたいと思って、暗算の練習をするとします。
頭の中で計算問題を解けば解くほど、暗算は早く、正確になっていきます。
このとき、脳内では、計算処理を行う部分の神経細胞の結びつきが強くなり、情報が早く効率的に伝わるように変化していきます。
繰り返し思考することによって、脳の神経回路が強化されるのです。
「慈悲の瞑想」とは、暗算のようなものです。
気をそらさず、何回も慈悲の言葉を脳内で暗唱する。
そのことによって、脳のある領域が強化され、主に2つの効果が表れます。
- 意志力が鍛えられ、集中力や自制心が高くなる
- 愛着形成にかかわる神経回路が強化され、愛情深くなる
慈悲の瞑想では、上記のうちの「意志力が鍛えられる」という効果がとても強いです。
実際にやってみるとわかるのですが、慈悲の瞑想は意志力をとても消耗します。
意志力を鍛えるという観点からみると、慈悲の瞑想は、ずば抜けた効果を発揮することが期待されます。
そして、慈悲の瞑想によるフレーズは、私たちの脳内の愛着反応を高め、怒りや憎しみなどを抑制するので、愛情を深めるという効果があります。
以下で慈悲の瞑想の効果について詳しくみていきます。
慈悲の瞑想によって「意志力」を強化する
意志力というと、あなたは何を思い浮かべますか?
何かを実行する力、何かを我慢する力、何かに集中する力…。
そのどれもが意志力です。
意志力をつかさどる脳は、前頭前皮質と呼ばれる脳の部位が関係しています。
前頭前皮質は、人間が他の哺乳動物と比べ著しく発達した、最も理性的な機能をもつ部分です。
人は前頭前皮質の働きによって、目標を立てたり、ダイエット時の誘惑に打ち勝ったり、ざわつく心を落ち着かせて勉強に集中したりすることができます。
これまでの様々な心理学、神経学の研究から、瞑想を行うと前頭前皮質に血流が集まり、意志力が向上することがわかっています。
そして、瞑想を習慣として続けることによって、前頭前皮質の灰白質と呼ばれる神経細胞が増えるということがわかっています。
瞑想は、脳の意志力にあたる部分の筋肉を鍛えるウェイト・トレーニングのようなものとして機能するのです。
特に、慈悲の瞑想は、この効果が高いと思われます。
慈悲の瞑想では、慈悲のフレーズをひたすら脳内で暗唱します。
このとき、通常ならば、集中力が途切れてきて、雑念が浮かび、別のことを考え始めてしまうでしょう。
そこで、自分が雑念にとらわれているということに気づき、意識を再びフレーズに戻し、暗唱します。
これは、脳内では、「意識の操作」を行っています。
この意識の操作を行う際に、前頭前皮質に血流が多く集まり、意志力に適度な負荷がかけられるのです。
特にフレーズの暗唱というのは、それなりに集中しなければできません。
注意がそれたときに、それを自覚し、集中を取り戻すという動作を反復することで、意志力が鍛えられるようになります。
慈悲の瞑想によって、「愛着反応」を強化する
ところで、愛とはなんでしょうか?
とても哲学的な質問で、とりとめもなく、答えがない質問のように見えますが、神経学的にはそれなりに明確な答えがあります。
それは、「オキシトシン」という神経伝達物質です。
オキシトシンとは、愛情や信頼を生み出していると推測されているホルモンです。
人から触れられたり、親密なコミュニケーションをとるときに、オキシトシンというホルモンが私たちの脳内からは分泌されます。
このオキシトシンは、相手との愛着関係を深めるだけでなく、精神を安定させる効果があります。
オキシトシンは、コルチゾールと呼ばれるストレスホルモンを減少させ、恐怖や不安を感じる扁桃体という脳の部位の血流を抑制するのです。
私たちが、ペットに触れ合っているときも、オキシトシンが分泌されています。
かわいがっているペットの犬や猫に癒されるというとき、その穏やかでリラックスした感覚こそがオキシトシンの働きなのです。
そして、オキシトシンは共感能力とも関係していると考えられています。
オキシトシンが脳内で活性化している人ほど、共感や同情を示す傾向があることが数々の研究からわかっています。
慈悲の瞑想では、このオキシトシンが脳内で発生する神経回路を強化します。
他人を思いやり、社交性を高めることで、オキシトシンが分泌されるようになります。
ところが、怒りや憎しみの感情が心に刻み込まれていると、オキシトシンの分泌は抑制されてしまうのです。
また、過去に虐待を受けるなど、心の傷を負うと、オキシトシンが分泌されていても、ストレスホルモンが低下しなくなることも研究によって明らかになっています。
どうやら人は「オキシトシンの分泌」と「精神の安定」を結び付けることによって、オキシトシンの効果を高めているような側面があるようです。
つまり、オキシトシンが単に分泌されるだけでは、精神が安定するとは限りません。
オキシトシンが分泌されているときに、つまり、周囲の人から触れられたり、誰かを思いやっているときに安心感が得られるという経験を得ることによって、はじめてオキシトシンの効果が高まるということです。
慈悲の瞑想では、嫌いな人にも慈悲のフレーズをかけます。
このことで、自身のオキシトシン回路を阻害する憎しみの感情を抑制します。
そして、優しい言葉を思い浮かべることで、多少のオキシトシンが分泌されます。
このときに、瞑想が深まっていれば、穏やかな心の状態になっています。
すると、オキシトシンの効果が高められ、脳の中でオキシトシン回路が強化されるのです。
こうして、慈悲の瞑想によって私たちの脳内で「愛着反応」が強化されるようになるのです。
慈悲の瞑想のやり方
基本は、呼吸瞑想のときと同じように、椅子に座って背筋を伸ばすようにします。
それから、目を閉じて、以下のスクリプトを暗唱するようにします。
スクリプト
私が幸せでありますように
私の悩み苦しみがなくなりますように
私の願い事が叶えられますように
私が「あるがまま」に物事を見られますように
私の親しい人々が幸せでありますように
私の親しい人々の悩み苦しみがなくなりますように
私の親しい人々の願い事が叶えられますように
私の親しい人々も「あるがまま」に物事を見られますように
生きとし生けるものが幸せでありますように
生きとし生けるものの悩み苦しみがなくなりますように
生きとし生けるものの願い事が叶えられますように
生きとし生けるものも「あるがまま」に物事を見られますように
私の嫌いな人々が幸せでありますように
私の嫌いな人々の悩み苦しみがなくなりますように
私の嫌いな人々の願い事が叶えられますように
私の嫌いな人々も「あるがまま」に物事を見られますように
私を嫌っている人々が幸せでありますように
私を嫌っている人々の悩み苦しみがなくなりますように
私を嫌っている人々の願い事が叶えられますように
私を嫌っている人々も「あるがまま」に物事を見られますように
集中力がそれてしまっても、気にせず、意識をたんたんとフレーズに戻すのがポイントです。
また、スクリプトが難しくて覚えられないときや、忙しく気が乗らない時などは、簡易版として「私が幸せでありますように、生きとし生けるものが幸せでありますように」と暗唱するだけでもかまいません。
慈悲の瞑想は、とても意志力を消費しますが、毎日10分から15分こなせるようになることを目標に続けてみましょう。
おわりに
以上、慈悲の瞑想の効果と、そのやり方についてみてきました。
慈悲の瞑想は、とても効果的な脳のトレーニングです。
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