茉奈と惚れっぽさと一目惚れ

茉奈
東條先生、そういえばこの前「女性は恋に慎重だ」って言ってたじゃないですか。
でも、友だちで、「私、すぐに人を好きになっちゃうんだよねー」って言ってる子がいるんですよね。
茉奈
女の子でもやっぱり「惚れっぽい人」っているんですか?
東條先生
まあ、いるだろうね。
進化心理学的には、遺伝子で説明されるみたいだね。
茉奈
惚れっぽい遺伝子が存在するってことですか?
東條先生
あくまでも、仮説のレベルを過ぎないんだけどね。
例えば、茉奈ちゃん、周囲の男性が皆イケメンで誠実で、恋に奥手だったとするね。
そして、茉奈ちゃんの周りの恋のライバルたちも皆美人で、恋に奥手で慎重だったとする。
東條先生
さあ、茉奈ちゃんは周囲の女性を蹴落として、自分が誠実で奥手な男性と結婚するためには、何をしますか?
茉奈
えーと、周囲の女性が慎重なのだから、積極的に行動する。多分。。
東條先生
そのとおり!正解です!
そして、それが惚れっぽさの遺伝子というわけですね。
東條先生
周囲に慎重で誠実な男性が多くいる場合は、惚れっぽい遺伝子を持っていれば、すぐに恋が始まります。
すると結果として、周囲に抜けがけしてイケメンと付きあうことができます。
茉奈
その結果、多くの子どもを残すことができる、と。
でも、周囲に不誠実な男性しかいない場合は…
東條先生
都合よく遊ばれて、子育てができず、結果として子どもが残らないということになるね
茉奈
遺伝子も男女の駆け引きで成り立っているわけですね…。

惚れっぽさと遺伝子

実際に惚れっぽさを作り出す遺伝子があるかどうかということは、まだわかっていません。

東條先生の説明はあくまでも、進化心理学的な視点でみた仮説レベルの話です。

実際の惚れっぽさというのは、環境や学習、心理状態による影響も大きいと思われます。

しかし、遺伝子という観点から物事を考えるということも重要かもしれません。

例えば、一目惚れの恋は一般的に長続きしやすいことが知られています。

離婚大国のアメリカでも、一目惚れで付き合いはじめ、結婚した夫婦は離婚率が2割以下と少数であることがわかっています。

人がなぜ一目惚れするのかについては、具体的な理由はまだわかっていません。

しかし、遺伝子が近い異性ほど臭いをきつく感じ、遺伝子が遠い異性ほどよい香りを感じるということがわかっています。

具体的には、HLAとよばれる、白血球の血液型が異なる異性の体臭は心地よいにおいと感じますが、HLAが近い異性の体臭は嫌な臭いに感じます。

白血球の遺伝子型を多様にすることで、子孫の免疫力が高くなるようにする生物学的配慮が働いているのです。

そして、お見合いで結婚した結果、最も破局してしまう確率が高いのは、「生理的に嫌悪感を感じる」ことです。

いずれにせよ、遺伝子が様々な状況で私たちに影響を与えている可能性はあります。


茉奈
でも、一目惚れの恋が長続きしやすいってのは意外ですよね
東條先生
確かに。
お互いのことをよく知らないで付きあうと別れやすいって一般的には言うよね

まとめ

  • 「惚れっぽさ」は、男女の駆け引きによって進化してきたと思われる
  • 一目惚れの恋は、長続きしやすいことがしられている
  • 人がなぜ一目惚れするのかは、まだわかっていないが遺伝子が影響を与えている可能性がある

東條先生
ところで、茉奈ちゃんは一目惚れってしたことがある?
茉奈
え!?それも秘密です!秘密!
東條先生
ははは。
もし茉奈ちゃんが一目惚れしたら、その時は運命だと思ってポジティブに考えたらいいかもね

あなたに一目惚れしました、だなんてそんなこと言えないし、そもそも、最初っからポジティブになんてなれないよ。
東條先生の左手の薬指につけられている銀色の指輪を見つめながら、心の中で、そっとつぶやく茉奈なのでした。